【 Vol. 9】鼻の手術について      形成外科医 中北信昭 
[関連ページ]
隆鼻(シリコン挿入法/軟骨移植法)
小鼻縮小
斜鼻修正
ハンプ(鼻骨突起)修正
鼻骨縮小・軟骨修正
■鼻の手術について
鼻は顔の中心にあって、まぶた程ではありませんが顔の印象に大きく影響する部分です。その形態は人種間にかなり差があって、東洋人では比較的低くて丸い傾向にあり、多くの患者さんが細くてシャープな鼻になりたいと希望します。しかし一般に西洋人の様な鼻を日本人の顔に当てはめても、他人から見れば異様な印象を持たれる場合が多いのです。私達はあくまでも個々の患者さんに合った自然な仕上がりを重視し、あまり過度な変化はお勧めしていません。
鼻の形の改善に関する項目は数多くありますが、今回は代表的なテーマとして「鼻を高くする」「鼻先を細くする」「鼻スジを細くする」「小鼻を小さくする」「鼻の曲がりを治す」の5項目について紹介します。
1. 鼻を高くする(隆鼻術)
 
(1)プロテーゼ法
シリコンプロテーゼを挿入して鼻を高くする方法で、一般的に多く行われています。I型とL型があり、I型は主に鼻スジが高くなり、あまり分厚いものを使わなければ自然で鼻への負担も少なくて済みます。L型は鼻スジから鼻先までしっかり高くなり、簡単に大きな変化が得られますが、人工物の力で鼻先の皮膚を突き上げるので皮膚が薄くなりやすく、時にはプロテーゼが皮膚を突き破って露出してしまうことがあります。すでにプロテーゼが入っていて、最近鼻先が赤くなってきたという方は、早めに抜去した方がよいでしょう。また、私達生き物は必ず老化しますが、人工物は半永久的に変化しないため、そのアンバランスにより次第にプロテーゼの輪郭が浮き出るようになってくることも多く、私個人の考えとしてはプロテーゼの使用をあまりお勧めしません。また、それほど多くはありませんが、形も良く皮膚の問題も特にないにもかかわらず、異物感がいつまでも続くために抜去を希望して来られる患者さんもいます。ただし、気に入らなかったり何かトラブルがあった場合には簡単に取り出せることは利点と言えます。
 
(2)自家組織移植による方法
人工物特有の欠点を克服し、仕上がりが自然で安全性の高い方法です。移植材料としては主に筋膜(側頭部の毛髪皮膚を切開して採取)と耳の軟骨(耳の裏側を切開して採取)を用いています。これらを採取しても機能的な犠牲は全くなく、傷跡が気になることもまずありません。通常はプロテーゼほどしっかり高くすることはできませんが(より手間はかかりますが、全く独自の方法でプロテーゼに近い高さを得ることも可能です)、非常に自然で、皮膚に負担がかかることも殆どありません。人工物より感染に強い(化膿しにくい)のも利点です。鼻先も高くする場合には、後に述べる鼻尖形成を同時に行います。
 欠点としては、手間がかかるため手術時間が長くなり、費用も高くなること、「ビシッと高く」を希望する方には不満が残る可能性があること、またしっかり癒着するのでプロテーゼのように簡単には取り出せないことなどがあげられます。簡単に済ませたい方や大きな変化を望む方、どうしても他の部分にメスを入れることを避けたい方にはプロテーゼ法を選択します。
 以上のように、プロテーゼと自家組織ではそれぞれに利点・欠点があります。
どちらも手術によって鼻の形を変えてしまうことに変わりはないのですが、自家組織を用いることによって「人工物によって作られた鼻ではない」という心理的な安心感や自信をもたらす効果も大きく、より質の高い手術であると考えています。


2. 鼻先を細くする(鼻尖形成術)

前述のプロテーゼを鼻先まで入れることでも鼻先が高く、細く見えるようになりますが、やはり鼻先の皮膚に無理がかかるのでお勧めしません。鼻先の高さや大きさは皮膚の下にある軟部組織や軟骨で形成されており、これらを変化させることで根本的な改善が可能です。鼻尖形成と呼ばれる手術で、具体的には余分な脂肪を除去し、左右の軟骨を一部切除して縫い寄せることで鼻先が細く、高くなります(ただし、鼻の皮膚が非常に厚い場合には、効果が現れにくいことがあります)。さらに耳から軟骨を採取して移植することにより、よりアクセントのある鼻先になります。鼻先の向きを(上下に)ある程度変えることも可能です。

3. 鼻スジを細くする(鼻骨骨切り術、隆鼻術)
鼻の付け根に近い部分は軟骨ではなく骨でできています。この部分がよほど幅広い場合には、この骨を切り離して骨格自体を狭める手術を行いますが、全身麻酔と数日間の入院が必要となります。眼が開かなくなる程の強い腫れが1週間程度表れるので、適応は限られます。通常は前述の隆鼻術を行うことによって、ある程度鼻スジは細く見えるようになります。
4. 小鼻を小さくする(鼻翼縮小術)

小鼻が大きいか、横に張り出して幅広く見える場合に行われます。小鼻の付け根の皮膚を切除して縫合するだけなので比較的簡単な手術です。同時に鼻の穴を小さくする(幅を狭める)こともできますが、この場合にはやや傷跡が目立つことがあります。小鼻の厚みを薄くすることも可能ですが、やはり傷跡が目立ちやすいのであまりお勧めしません。鼻の皮膚は皮脂腺が発達しており、特に毛穴が目立って皮膚の厚い方は、外から見える部分にメスを入れることは避けた方が賢明です。

 

5. 鼻の曲がりを治す(鼻骨骨切り術、鼻中隔矯正術、隆鼻術)

鼻の骨の変形が強い場合(骨性斜鼻)には、3の項目で述べたのと同様に、骨を切り離して矯正する必要があります。また鼻には前述の鼻先の軟骨以外にも、真ん中で支えている鼻中隔軟骨というものがあり、これが大きく曲がっている場合(軟骨性斜鼻または鼻中隔彎曲症)にはその一部を切除するか、一度取り出して変形を矯正して元に戻す手術を行います。しかしいずれの場合もそこまでの手術が必要になることは少なく、多くは隆鼻術や鼻尖形成を行うことで鼻スジの曲がりを目立たなくすることが可能です。 

 

■麻酔について

ここに述べた手術は、骨の手術を除けばすべて局所麻酔で十分可能です。不安の強い方は静脈麻酔を併用することも可能ですので、ご相談下さい。

■術後経過について
単にプロテーゼを入れるだけの場合にはあまり必要ありませんが、ここに述べた手術のほとんどは(4を除く)術後鼻の固定が必要です。実際には鼻全体にテーピングを行い、さらにギブスの様なもので外から圧迫固定します。これは術後の腫れを最小限におさえ、移植した組織のズレを防止し、鼻の形態ができるだけ目標通りになるようにするために大変重要です。
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